私というちっぽけな表現者

もの書きミュージカルダンサーへの日々。

平凡な日常で、子どもからも学べる大人になろうと思った

 

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少女がキラキラと輝いた目で、全身を使って踊っていた。

小柄な体とは打って変わって大胆に、そして子供らしいセクシーさを放って表現するその姿は、もう、圧巻だった。心で踊っているようで、私の目からはポロッとひとつぶの涙がこぼれていた。

 

何も、大劇場で高額なお金を支払って見た舞台ではない。

市民センターで、そこら中にいくらでもあるようなダンススタジオの発表会。

しかも、私の場合、偶々舞台で知り合ったお母さんに招待という形で呼んでもらった。

 

なのに私は、少女を見てこう思ったのだ。

「本物って、やっぱりあるんだなぁ」

 

どんな動きも、写真を取られているかのように一瞬一瞬形が美しい。私には少女の姿だけが止まっているかのように見えた。

表情も豊かで、音楽ともシンクロしている。

本当に素晴らしかった。

 

いつもの私だったら、おそらく、いつものごとく、あんなに小さい子がこんなに上手に表現している。自分の踊りを踊っている。なのに、それに比べていい歳した大の大人の私は、全然だ。と、ネガティブに捉えて悔しがっていたことだろう。ああ、もっと小さい頃からダンスしておけばよかった。もっと恵まれた環境にいたかった。そう僻んでいてもおかしくなかった。正直に言えば、そういう気持ちも少しはある。けれど、今回はそんな気持ちより、もっと爽やかな感情が私の中に生まれていた。

 

それは多分、数日前のある出来事がきっかけだろう。

別に特別なことではない。平凡な私の平凡な日の出来事だ。

ただ、なんかちょっと私がおかしかっただけのことだと思う。

 

ここ最近の私の生活習慣は良いものではなかった。ものかきミュージカル女優を目指す私は、夜遅くまでとあるこれまたおかしな(もちろんいい意味で)書店で働いて、朝早くからレッスンへ行くの繰り返しだった。十分な休みがなく、それを紛らすために無駄な買い物をしたり、食べ過ぎたりすることが多かった。心身共に、明らかに疲れていて、「やる気が出ないというのは、やりたくない言い訳だとわかってるけど、できない……だるい、とことこん怠けたい」と、簡単に言えばこんな精神状態だった。

 

少しでもこんな気持が取っ払われればいいなという思いから、超絶久しぶりにブックオフ来た。古本古着、レンタルなどあの、丸いキャラクターが印象的な店だ。しかも、何を思ったか、開店と同時に私は店へと入った。お目当ては、ずっと気になっていたウクレレウクレレをポロンポロンと引きながら歌えたら、素敵ではないか。あと、少し前に話題になっていたジェニファー・L・スコット著の『フランス人は10着しか服を持たない』の本があればいいな~というものだった。

たぶん、どこでも良いから日常から逃げ出したかったのだと思う。だから何か新しいことを始めたりしたくなったのだろう。

中古品の楽器コーナーにあるウクレレを見て、5万円以上したのにびっくりして、そそくさと本のコーナーに移動した私は、お目当ての本を探していた。

たくさんの本棚が何列にも並んでいるこの店内。その棚には少しの隙間もないほど本がびっしりと並んでいる。100円~コーナーへ行き、本棚と本棚の間に挟まれるように私はお目当ての本を手に取り、ページをめくった。

 

「在庫ありますかっ?」

 

ハリのある声で、気持ちよく働く青年たちが、いた。

それだけで何故か涙ウルっとした。

あまりにも自分と違って清々しいからだ。

こんな朝っぱらから気持ちよく働いている姿をみて、何だか私の心まで浄化してくれるかのようだった。人間は周りの環境に適応する能力があるという。周りがプロばかりの中で過ごしていたら、自然と自分の意識も高まるし、汚い部屋で過ごしていれば、自分自身も怠惰な生活になってしまうのと同じである。だから、清々しく働く彼らが、私の心に何らかの影響をもたらしたと言っても過言ではない。

私は色んな想像をした。もしかしたら、若気の至りで、夜遅くまで飲み会あった後かもしれない。ちょっと気だるい体をなんとか持ち上げて、今日も出勤。そんな青年がいてもおかしくはないし、もしかすると、彼女と過ごす素敵な朝を惜しみながらでてきた人もいるかもしれない。

 

店内を走り回って、バタバタとかける青年たち。

誰かがミスしたのか、アイツまたやったなとでも言うようにヒヒッと笑う者もいた。

何だか本当に、こっちまで気持ちが明るくなった。

私は『フランス人は10着しか服を持たない』を購入した。

またここへ来ますね、の意味でカードを作ってもらい、お店を後にした。

 

思えば、この時から、私の中の何かが変化していたのかもしれない。

 

私は買った本を読みはじめた。

この本を選んだのは、自分の心の中をきれいに整理したいからだった。自分のことをもっと見つめ直したかったし、自分が何をしたいのかわからなかった。心の中がぐちゃぐちゃで、どうにかしなければならないと分かっているけれど、ただ時間が過ぎていく。もっと落ち着いていて、余裕があって、確固たる自分をもった魅力的な自分でありたいと思った。その答えが、この本にあるような気がしたのだ。

 

大げさに聞こえるかもしれないけれど、その人がどんな人間で、どんな価値を持っているのかというのは、を1分1秒どう過ごしているかの積み重ねでできていると思う。

なんとなくすごす人は、なんとなくの人間だし、上品に過ごす人は、中身も外見も上品だ。とてもシンプルなことだけど、それが簡単にできたら苦労しない。

フランス人はとてもシンプルな暮らしをしている。それが、フランスの文化として根付いているから、彼らにとっては当たり前のことなのだ。私たち日本人にとっては、当たり前ではないから、彼らのそのシンプルで見栄を張ったりしない習慣が驚くほど凄いと思ってしまう。彼らとは同じようにできなくても、何か得られることはあるかもしれないと、私は思った。

 

案の定、この本を読んだおかげで、少しずつ意識的に行動できるようになった。無駄な買い食いが減った。そのおかげで生活習慣の乱れも整ってきた。その良い循環が私の心と体も明るくしてくれたのだ。

 

やっぱり本って良いよなあ、と改めて思った。

読むだけで、本が行動を促してくれるから。自分の興味関心があることならなおさらである。なりたいじぶんが、変わりたい自分がある時、それを解決してくれそうな本のタイトルには自然止が止まるはずだ。それを著者と自分の一対一の世界で会話することで、その世界に熱中できる。だから、私はそのことで頭が一杯になり、行動できる。本には、あまり異言葉ではないけど、洗脳のような、没頭できる効果があるような気がしてならない。

 

そのおかげで、私は無気力だった自分から抜け出し、死んでいた感性が戻ってきた。

 

そんな時に見たダンス発表会。私の五感は多分みずみずしいものだったのだろう。この発表会を見て、こんな教訓を得た。

 

幼いあの少女を羨むのではなく、学ばせてもらったんだと感謝すること。

本気出すことができずに子供に負けることのほうが、逆に大人気ない。

そう思える自分の心はまだ若いかも? と思えてちょっぴり嬉しくなった。

 

子供にだって学ぶことは沢山あるのだ。

大人のプライドなんてこの世界にはいらない。

だって、姿を見るだけで、本当に教えてくれるのだ。

形の綺麗さ。表現を楽しむことの大切さ。表現するってどういうことなのか。

心の持ちよう。

年齢や知識なんて、この世界には通用しない。

どれだけ心打たれるか。感動させられるか。

そして、惹きつけられるか。

そこに年齢と経験も性別も何も関係ない。

どこまでまっすぐ対象とと向き合えるかなのだ。

そう思わされた。

 

子どもだって、無意識だとしても、大人も子供も、人間じゃなくても関係なく周りから学んでいる。

 

 

そしてやっぱり、誰しもの心動かす圧倒的なものって、あるんだと感じる。

自分の心が丁度弱ってたからとか、同じ志を持つ共感できるものだからとかではなく、

どんな人をもこれを観たら、心動かさずにはいられない、そんなものがあるのだと。

それを多分ホンモノと言うんだろうな。

例えば羽生くんとか、イチローとか、ミスチルとかサザンオールスターとか、ビートルズとかマイケルジャクソンとか。

本当にすごかったら、ホンモノだったら、嫌でも自然と広がっているではないか。

 

そんな人になりたければ多分、ずっとそのホンモノを見続けること、触れ続けることだろうと思った。

 

だって、その子たちの踊りを見た後の私の踊りは、自分でも分かるくらいいつもと違った。やっぱり、良いものを見れば見るほど、それに対する想いが強ければ強いほど、人って変わるのかもしれない。

 

そうやって少しずつ成長していけたら、と思う。

 

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