私というちっぽけな表現者

もの書きミュージカルダンサーへの日々。

気の利いたことなんてちっとも言えやしないけど

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嵐のような天候の中、自転車をこぐ。

傘もささず、フードを深くかぶり、必死に漕ぐが、風と雨が強くて、たちまちフードは雨を遮るという意味をなさず、顔に雨が降りつけてくる。目が開けられないほどだ。

 

でも、私は息を切らしながら漕いだ。

途中、水たまりの中に勢いよく飛び込んでしまい、白いワンピースに泥が跳ねた。

でも、そんなのももうどうだって良かった。

 

私の頭の中は、またもやあの人の手がけた演劇で頭がいっぱい。

 

そして、はぁと少しため息をつく。

どうしていつも私は気の利いたことが言えないんだろう。

あそこにいたのは分かっていたのに、

少しくらいアピールしとけば、

運命が変わったかも知らないのに、

何を恐れたのか、

何にも言えなかった。

その後に来たチャンスも、掴みかけたところで野球でいうアウトではなくファウルのような事しか言えなかった。

 

それにしても、本当に、どうしてあんなにも感動する真の意味での「面白い」舞台を作れるのか。

笑って、泣いて、驚いて、切なくて。

圧倒的な感動。そして余韻。

 

全て計算し尽くされたものなのか。

数をこなし続けた結果なのか。

 

私は、彼の作る作品がとてつもなく気になる。

好きかと言われると、よくわからないが、とにかく心が動かされてヤバイのだ。

熱狂的なファン? そういうのとは違う気もする。

とにかく、言葉選びから、動きのつけ方から、いちいち素晴らしさを感じる。

 

彼の作品が作られるまでを観たくて観たくてたまらない。

だから、彼の作品に出たい。

超絶出たい。

 

その思いに駆られ、がむしゃらに自転車を漕ぐ自分がいる。

ああ、こんな文章を書く時点で、

私はもう彼の作る物語の世界から

しばらく抜けられそうにない。 

 

 

先日、川口さんの脚本演出の芝居を観た。

九州ビジョナリーアーツの学生の卒業公演だ。

 

配置から音楽からキャラ設定から、言葉選びから、全てにおいて、全てが合わさって大好きだった。

いつもそうだ。

涙。感動。心から面白かった〜〜〜ってなる。見応え満載。

 

川口さんの作品はいつもそんな気持ちになる。

 

川口さんは、役者さん達と、どうやって、どんな風に関わりながら舞台を作ってるんだろうって、俄然興味が湧いた。

 

だから、私はこのオーディションに、絶対受かる。

絶対この舞台に立ちたい!!!!

だって、こんな機会滅多にないもん!!!!

ほんと、東京に出ようとするこのタイミングでくるから、奇跡。

でも、川口さんの脚本演出の舞台に立てるかもしれないって思ったら、

もうやばい!!!!

たまらなく嬉しくてしょうがない。

 

でも、今日、川口さんいたのに、恐れ多くて怖くて声を、かけられなかったのだ。

 

川口さんが脚本演出する万能ガラパゴスダイナモさんのメンバーの人には声かけて、お話ししたけど、

緊張して全然いいこと喋れなかった。

川口さんの脚本演出が大好きで!!

とか、アピールとか、気の利いたこと言えなかった。

後から後から、ああ言えば良かった、こう言えばよかったと後悔するばかりで情けない。

 

 

でも、今日は本当に観に行って良かったと思った。

大学内の、ちっぽけな舞台かもしれないけれど、あんなに人を物語の世界の中に連れ込んで、感動させる舞台が作れることを知ったからだ。

 

私も、もう直ぐ発表会がある。

福岡で言えば博多座とか、キャナルシティ劇場とか大きな場所で多くのお客さんの前でやるわけではない。

みんながプロを目指しているわけでもない。

いろんな人が混じり合った舞台になる。

 

でも、みんなが踊りたくて、少しでもい作品を創り、楽しみたいと思っている。そんな風に、本番をもうすぐに控えた今、みんなが立ち向かってる。

 

だからこそ、私は、次に、川口さんと会うときは、もっと自信を持ってお話できるようなすごい自分になってたいと思った。